飲食

老舗漬物屋 店主

鈴木 智 さん

愛知県

国産原料と生漬けの味噌漬けで、
お客様に喜びを届けたい。

ある取引先の言葉

老舗を受け継ぐ決意

愛知県豊田市足助町にある老舗漬物屋「スズマン本舗」さん。東海屈指の紅葉名所である香嵐渓で創業120年以上の歴史を誇っています。
今回は4代目店主の鈴木 智さんにお話を伺いました。

- ご出身はどちらでしょうか?

「ここ豊田市です。実家は1902年(明治35年)創業の漬物屋でして、幼い頃は近くの足助川に木のトロッコを設置し、水流で山ごぼうなどを洗っていました。私で4代目になるんですよ。」

- 4代目ですか!?いつ頃から店を手伝うようになったのですか?

「確か21歳頃から店を手伝うようになりましたね。昔はマニュアルなどもなく、先代である父の仕事をみて覚えていきました。ところが私が28歳の頃に父が亡くなりましてね…。このまま店を続けるか迷っていた時に、昔から付き合いのある問屋さんから“やるの?やらないの?”と聞かれまして。そこで私も意地になって“やります!”と答えたんです(笑)」

- 意地もあって、お店を継がれたのですね^ ^

「はい。実はこの店の創業の事業はひいおじいさんが始めた“下駄屋”だったのです。ところが、その奥さんが漬物作りを得意としていたようで、近所に配っていたところ美味しいと評判になり、漬物も売るようになったと聞いています。」

- そうなんですか!?ですから漬物店の隣で下駄や靴も販売されているのですね!!

味付けの追求

父の残した大学ノート

- スズマン本舗様の漬物の作り方を教えてください。

「主力商品である山ごぼうと菊芋は11〜12月にかけて収穫されるので、その時期に仕入れたものは1年分として全て漬け込みます。まずは野菜の洗浄・アク抜きをし、その1〜2日後に天日干しをしながら選別を行います。その後、種類によって2週間〜1ヶ月程度の期間をかけながら”味噌漬け”を行い、最後に大型の冷蔵庫に保管することになります。」

- 一番気を使う工程はどこでしょうか?

「やはり味噌の味付けの部分ですね。私は味噌の詳しい配合や、漬け方などは直接教えてもらってないのですが、父が亡くなった後にちょっとした配合のメモやレシピが書いてある大学ノートが出てきまして・・・。若い頃はそれを参考にしたり、昔から在籍しているスタッフに聞いたりしながら、今日まで自分なりの味付けを追求していますよ。」

- まさに伝説の大学ノートですね!

「ただ、現実的にはそのノート通りにはいかないですね。例えば味噌の樽でも、上の方の味噌と下の味噌とでは“味や柔らかさ”が違うわけです。そこにみりんや醤油、砂糖などを入れるのですが、味噌の状態を見ながら配合を変えています。そのあたりの感覚はノートの文面だけではわからないのです。」

- 奥深い職人の世界ですね!!

「甘さ」にこめたこだわり

国産原料と生漬けの理由

- 商品のこだわりを教えてください。

「まずは原材料へのこだわりですね。多くの漬物屋は外国産原料を使用しているのですが、当店は”国産原料”にこだわり、北海道などから仕入れています。最盛期には山ごぼうだけで18トンも仕入れていたんですよ。」

- すごい量ですね!漬物の国産原料も珍しいのですね!

「次に漬け方ですね。一般的には原料を洗って”塩漬け”にして保存し、それを適時、塩を戻して必要な分を漬けていくわけですが、うちは”生漬け”といって、天日干しした後にそのまま全て味噌に漬けています。塩で水分を抜かれると歯切れがなくなりますし、風味も落ちてしまうため、”生漬け”を取り入れています。」

「さらには、当店の山ごぼう漬物の特徴として”甘さ”を意識しています。塩漬けにするとどうしても”塩っぱさ”が強くなってしまい、当店の味噌漬けの特徴が薄れてしまうのです。そのようなこだわりにより、銀座のお寿司屋さんや鰻店などからも注文を頂いているんですよ。”生漬け”はロスや手間がかかりますが、この先もお客様の期待に応えていきたいと思います。」

今後のビジョン

お客様にプレミアムな漬物を届けたい

- 今後のビジョンを教えてください。

「やはり、ありきたりな商品ではなく、特別感のあるプレミアムな商品を作りたいですね。少し前からは他の会社とコラボレーションをしながら、新商品の開発も進めています。」

「特に味にこだわりのある鰻屋さんからは、”いくら高くてもいいから味だけは落とさないでほしい”とリクエストをいただいています。銀座や神楽坂、白金などのお寿司屋さんからも引き合いがありますが、うちのこだわりを買っていただいていると感じます。」

- 最後に読者の方へのメッセージをお願いします。

「私は、”お客様の喜びを自分の喜びとしたい”という言葉を座右の銘にしています。最盛期は正月の朝まで漬け続けるという体力的に非常にしんどい時期がありましたが、お客様に美味しい漬物を届けたいと願いながら、これまで頑張ってきました。」

「特に味噌漬けに関しては食べたことがない人が多いと思いますが、当店の山ごぼうと菊芋に関しては自信がありますので、漬物としてはもちろん、手巻き寿司やチャーハンなど”今風の食べ方”にも是非チャレンジしていただければ嬉しいです!」



20代で伝統ある漬物屋の代表となり、父の書き残したレシピを頼りにその味を受け継ぐ鈴木さん。静かな語り口調の中に含まれる深い言葉には、歴代の店主の想いも入っているようでした。

愛知県近郊の方はもちろん、通販サイトで全国に発送もしていますので、是非創業120年、国産”生漬け”の味噌漬けを味わってみてください!!

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